2009年4月5日日曜日

情報化されたUbiquitous病院

最近、虚血性腸炎の疑われる方が続いて、文献を探していたら、下のものが目に留まった。
Park CJ et al. Can we predict the development of ischemic colitis among patients with lower abdominal pain? Dis Colon Rectum. 2007 Feb;50(2):232-8.
内容は、67ケースと80コントロールからロジスティック回帰で6つのリスクファクターを同定したというもの。
  1. 60歳以上の年齢(修正オッズ比5.7; 95%信頼区間: 2.6-11.7)
  2. 血液透析 (修正オッズ比5; 95%信頼区間1.2-21.6)
  3. 高血圧 (修正オッズ比4.9; 95%信頼区間2.3-10.5)
  4. 低アルブミン血症 (修正オッズ比3.5; 95%信頼区間1.8-6.7)
  5. 糖尿病 (修正オッズ比3.4; 95%信頼区間1.3-8.8)
  6. 便秘症惹起薬剤内服 (修正オッズ比2.8; 95%信頼区間1.1-7.1)
 そして危険因子の個数が0個、1個、2個、3個、4個以上で、それぞれ虚血性腸炎の可能性が、8%、21%、55%、79%、100%になるとのこと。症例数と最終モデルの因子数を考えると、危険因子がゼロでも診断の早期閉鎖をしてはいけないことの戒めくらいにとっておいた方がよさそう。

 今回、興味をそそられたのが、報告施設。 翰林大学医療センターを成す江東聖心病院という高度IT化病院らしいが、決してハードウェアに伴って研究の質が上がるというわけではなさそうという至極当たり前な事実。よく手放しで、医療機関のIT化を推進したがる方を見受けるが、IT化はあくまでも手段で、何を目的とするかということが置き去りにされているように思う。現場のスタッフでもIT化に対する意見が分かれるのは、それぞれの働き方も違えば、期待も違うからなのであり、少なくともリサーチに関しては、IT化の先達は成果を挙げていない。

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